イントロダクション
INTRODUCTION
離婚の危機に直面する5日間の物語。
避暑地を舞台とした大人の恋愛映画『あなたにふさわしい』は、2つの夫婦関係を軸に「ふさわしさ」や「名前」を巡る群像劇。本作は、第 19 回 TAMA NEW WAVE ある視点部門やボストン国際映画祭 2019 など国内外の映画祭で上映され、ロサンゼルスの JAPAN CUTS Hollywood 2019 では、日本のより良いコンテンツを世界に広めるために設置されたフィルミネーション賞を受賞した。本作の軸となる夫婦を、女優の他、落語家やラジオパーソナリティなどマルチに活動する山本真由美とデビュー以来話題作への出演が続く橋本一郎が演じたほか、もう 1 組の夫婦を演じた島侑子と中村有、そして鶏冠井孝介、紺野ふくたが好演し、オイド映画祭東京では主要キャストが特別賞(演技部門)を受賞。果てることのない人間関係の中に生まれる問題を時には激しく、時に軽快に描いた本作が提示する答えとは?
ストーリー
STORY
専業主婦の飯塚美希(山本真由美)は、ブランドネーム開発をしている夫・由則(橋本一郎)に対して不満を持っている。ある日、由則の仕事のパートナー・林多香子(島侑子)とその夫・充(中村有)とともに、別荘を借りて 2 組の夫婦で 5 日間の休暇を過ごすことになった。しかし、現地に着くやいなや、由則と多香子は急遽発生した仕事上のトラブルを解決するため別行動に。美希と充は不満かと思いきや、実は二人は隠れて浮気していたのだった。その夜、由則が話す仕事の思想を聞いた美希は、由則との間にある溝が埋まらないことに気づいてしまい…。森の中で出会った訳あり野鳥カメラマン(鶏冠井孝介)を巻き込み、美希はどのような決断を下すのか?
キャスト
CAST
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山本真由美 やまもと・まゆみ
飯塚美希 いいづか・みき 役
兵庫県出身。舞台、映画、CM に数多く出演。落語家(桂喬香)としても活動している。第 9 回田辺・弁慶映画祭にて主演女優賞受賞。『サーチン・フォー・マイ・フューチャ ー』(15/監督:松本卓也)、『テイク 8』(15/監督:上田慎一郎)、『Every Day』(16/監督:手塚悟)、『ナラタージュ』(17/監督:行定勲) 、『SHELLandJOINT』(20/監督:平林勇)他、 KTV「後妻業」や EX「白い巨塔」など数多くの作品に出演。話題作『カメラを止めるな!』では主題歌を歌唱。最近ではラジオパーソナリティとしても活動している。
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橋本一郎 はしもと・いちろう
飯塚由則 いいづか・よしのり 役
1985 年 10 月 17 日生まれ、東京都出身。『俺は、君のためにこそ死ににいく』(07/監督:新城卓)で映画デビュー。主な映画出演作に『天心』(13/松村克弥監督)、『殿、利息でござる!』(16/中村義洋監督)、『ラプラスの魔女』(18/三池崇史監督)、『ある町の高い煙突』(19/松村克弥監督)、『Fukushima50』(20/若松節朗監督)など。
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島侑子 しま・ゆうこ
林多香子 はやし・たかこ 役
富山県出身。2005 年着物女王北陸大会特別賞。本格的に女優を目指して上京。舞台、テレビ、映画に数多く出演。最近は CM「ヤマハ音楽教室」「常盤薬品工業」 「富士フ ィルム富山化学」「ヤクルト」などに出演。
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中村有 なかむら・ゆう
林充 はやし・みつる 役
1984年生まれ。静岡県出身。日本大学芸術学部映画学科演技コースを中退後、奈良橋陽子主催のUPSアカデミーにて演技を学ぶ。卒業後は舞台、自主映画、CMなどに出演。現在は、劇団狼少年のメンバーとしても定期的に舞台を行なっている。
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鶏冠井孝介 かいで・こうすけ
結城孝志 ゆうき・たかし役
1986年10月28日生まれ。神奈川県出身。2011年、「俺の空~刑事編」主役オーディションでファイナリストに選ばれたのを機に俳優デビュー。ドラマ「私のホストちゃん」、舞台「信長の野望・大志」シリーズ主演抜擢等を皮切りに舞台、ドラマ、バラエティに出演。主な出演作は舞台「野畑の飼ってた宇宙人」、「OZMAFIA!!」、「おおきく振りかぶって」など。
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紺野ふくた こんの・ふくた
カフェ店員 役
1976 年 9 月 20 日生まれ。埼玉県出身。1997 年のデビュー以降、小劇場を中心に多数出演。2004 年から映像にも活動の場を拡げ、多くのドラマや映画、CM と活躍中。最近の出演作に映画『Fukushima50』(20/若松節朗監督)、『スペシャルアクターズ』(19/上田慎一郎監督)、テレビ東京開局 55 周年記念ドラマスペシャル「アメリカに負けなかった男~バカヤロー総理 吉田茂~」、劇団時間制作第二十回公演「ほしい」(作・演出 谷碧仁)など。
スタッフ
STAFF
監督
宝 隼也
たから・しゅんや / Takara Shunya
1987 年生まれ、長野県出身。日本大学大学院芸術学研究科修士課程修了(映像芸術専攻)。大学(東京工芸大学)では山川直人に師事。在学中から映画制作に励み、経験を積む。修了後も映画制作を続け、映画祭や劇場で公開されたほか、ホラー系オリジナルビデオシリーズ等を監督。今作は初長編作となっている。
今作のような数人の男女関係の物語は、古今東西多くあるかと思います。一度はそうい ったタイプの映画を作ってみたいと、私も憧れのような気持ちがあり、映画の制作は始まりました。脚本を作っていく段階で大学院の先輩である高橋知由さんに相談をしたのですが、最終的に「名前」という要素を持ち込んだ脚本をあげてくれました。私の中で今作は人の関係性を描く事と、いかに芝居を撮るかということが興味の軸だったのですが、新たに加わった要素によって作品の幹が強固なものになったように思います。そこから映画のテーマも見えてきたのですが、撮影に入ってもタイトルは『あなたにふさわしい(仮)』でした。このタイトルがこの映画にふさわしいものとは思えていなかったのです。”あなた”じゃなくて”君”の方がいいのではないか、”あなたに”だけでもいいのではないか、英語のタイトルにした方がいいのではないか。そんなことを思いながら撮影は終わり、編集をし映画の完成に近づくのですが、いつの間にやら(仮)はとれていました。その頃には、このタイトルに向かって仕上げているという感触さえありました。完成した映画には今のタイトルがふさわしいと思います。『あなたにふさわしい』は、ある関係を続けていく上で、それぞれが変化しふさわしい関係になりあっていく必要を描いた映画である。と私は考えています。
監督 宝 隼也
脚本:高橋知由
たかはし・ともゆき / Takahashi Tomoyuki
1985 年生まれ。脚本家・劇作家。日本大学大学院芸術学研究科修士課程修了(映像芸術専攻)。大学在学中からシナリオを学ぶ。主な脚本作に『王国(あるいはその家について)』(監督:草野なつか)など。また脚本ユニット「はたのこうぼう」(濱口竜介・野原位・高橋知由)の作品として『ハッピーアワー』(監督:濱口竜介)がある。2017年-18 年、演出家・劇作家の松田正隆が主催するシアターカンパニー「マレビトの会」に劇作メンバーとして参加した。
撮影:渡邉拓海
わたなべ・たくみ / Watanabe Takumi
1987 年生まれ。静岡県出身。カメラマン。東京工芸大映像学科映画研究室卒業。同時期に日本映画撮影監督協会育成塾に通い 6 期生として卒業(同青年部所属)。卒業後は広告業界をメインに短編で何本か技師を担当。2019 年に技師デビュー。『あなたにふさわしい』は助手時代に巡り合えた作品。また今作品はグレーディングや照明も一部担当する。
音楽:重盛康平
しげもり・こうへい / Shigemori Kohei
1986 年生まれ。作曲家・サウンドデザイナー。現在は主に映画・CM の分野で活動中。「禅と骨」(中村高寛監督)、「アスリート」(大江崇允監督)、「鬼談百景」(岩澤宏樹監督)、「私は兵器」(三間旭浩監督)、音楽劇「正しい数の数え方」(岸野雄一作品)などに参加。また劇伴作曲家ゲイリー芦屋氏の助手として「愛がなんだ」(今泉力哉監督)、日テレドラマ「ボイス 110 緊急指令室」などに関わる。
撮影:渡邉拓海 浅津義社/録音:横田彰文/ヘアメイク:須見有樹子/助監督:日比野博記/整音:弥栄裕樹/
照明応援:酒井隆英/制作応援:小沼太一/タイトル:フジタヨーへー/字幕制作:Yuko Swift
コメント
COMMENT
順不同・敬称略
『あなたにふさわしい』は冒険映画である。
生きていると時々誰もが遭遇する温もりや楽しさ、悲しさそして迷い。
人は皆それらと向かい合い、あるいは逃げ道を探したりする時もある。
「その先、道はないですよ」「はあ」
しかしまた同じ方向へ歩き出し、再び考える。
愛とは何か。悲しみとは何か。ふさわしさとは?
そんな風にしてやがて言葉は空転し、また迷いと残像だけが残る。
難しいけど簡単だったりもする。
『あなたにふさわしい』とはそんな迷いの果ての人間冒険映画だ。
山川直人
映画監督
二組の若い夫婦は夫婦なのにいけない恋愛をしている。まだ青春なのだ。
青春は恋愛だけしていれば良いのだが、彼らには仕事がある。
恋愛と仕事との両立は、昨今特に難しく、夫婦たちは迷う。
その迷いは、都会の喧噪の中なら誤魔化せるが、空気の冷たい軽井沢にいると、直截、言葉になり、思考になる。
その言葉と思考に、初めは勝手にしろ、と言いたくなるが、次第にもっと聴いていたくなる。
つまりは、静謐な室内楽のような映画である。
山内ケンジ
劇作家・映画監督
名は枷である。
名は象徴である。
名は呪いである。
名はギフトである。
誰もが名を持っている。名無しという名ですら名である。そのカテゴライズから誰も逃れられない。
そして、それが「自分にふさわしい」か、誰もが悩む。
ふさわしい名を求め、人は時に血を流す。称号や尊称のために。
宝隼也監督の「あなたにふさわしい」はそんな名にまつわる作品である。
「ふさわしい」のために、5人の男女が惑い、求める。その悲喜劇があまりにも滑稽であり美しい。
そして最後に気づく。
「あなたにふさわしい」というタイトル以上にこの映画に「ふさわしい」ものはないと。
洋介犬
漫画家
初めて観たのは「ええじゃないか とよはし映画祭2019」のコンペティション部門の審査中だった。
登場人物のキャラクター、脚本、演出…それら全てが魅力的ですぐに心を掴まれた。
特に山本真由美さんをはじめとする俳優陣の演技には目を見張るものがあった。
非日常の中で人と人との関係性は浮き彫りにされる。
そこから日常にもう一度戻れるかどうかで本当に相応しい相手を見極めることになるのだ。
インディーズ作品としては骨太な印象がこの作品にはある。
森谷 雄
プロデューサー・映画監督
たしかに、人生の川辺で一本しか無いような藁をも掴んで持っていくような人はいる。
満身から何かを発散していて、助けてくれる人がいつも必ず側にいて、遠慮してるようで総取りしていくような人。
なんで結婚したんだろうね?
腑に落ちないのは、80年代のエアロビクスみたいな格好した男、充と結婚してる多香子!
どこが良かったのか?
待ちんぼのカメラマンに、ごめんねの一声でさっと駆け抜けて行くところがよかったです。
井口奈己
映画監督
切ない恋愛映画だと思ったらだまされた。
これほど壮大で、切実で、ばからしい夫婦喧嘩を見たことがない。
美希さん、それにしてもあんまりじゃありませんか。美希のことをわかりたくないのは、わかったら羨ましくなってしまうからかもしれない。 車から手を振るシーンのために、わたしはこの映画をもう一度観たい。あーあ、なんかもう全部許しちゃうじゃん。許さないけど!
ふさわしさなんて、ぜんぶ後から付いてくる。
くどうれいん
作家
別荘という閉鎖空間での会話から滲み出る心理描写は、普段演劇を作る僕にとってもとても魅力的。
加えて、軽井沢の自然という開放空間で描く人と人の距離感が関係性を立体化させる。
浮つく気持ちと必死に自分を肯定しようとする様は、きっと誰にも身に覚えがある。
カドの立たない恋なんて出来ない。愛の正体なんて掴めない。
そんな僕にふさわしい、大人の青春映画。
春陽 漁介(劇団5454)
劇作家・演出家
見終わった後、登場人物たちがなぜそうしたのか。自分はどうなのか。
すれ違いも寂しいけど、ぴったりハマり過ぎるのも息苦しい。
「ふさわしい」ってどういうことなのか考える時間をもらえる作品です。
山岸謙太郎
映画監督
世間がひどく不倫を憎むのは、それがいつも過渡期にあって明瞭な名称を拒むからではないだろうか。
「あなたはどちらを愛しているのですか?」ーーこれほどくだらない質問はない。
感情の明文化をもっとも厭うのが、対立した存在の間を行き交う愛の心理だからだ。
真魚八重子
映画評論家
身勝手な我々人間の生活を垣間見せられた。
彼ら、彼女達の生活に必要なもの、欠如しているものとは。何かが足りないのだ。
それが何なのかは映画館のスクリーンで見つけることとしよう。
その日が早く来ることを心待ちにしている。
武 正晴
映画監督
うわぁこれは凄い映画やで。
登場人物の誰の目線で見るかで、全く感じ方が違うんです。善か悪か、欲か理性か、愛か憎か、白か黒か。
毎日食べなれた食事が、たまに名店のグルメを食べると美味しさが引き立ちます。
毎日グルメじゃ、飽きる。しかし最後は食べ慣れた、いつもの食事がいいんですよね。
(笑)
何のこっちゃ。
さぁ、もう一回見よう!!次は誰目線にしよ。
彦摩呂
タレント
男と女‥‥。
これは、何とも理解しようにも訳がわからない。
それにしても男はなぜかよく喋り、それに対して、女は口数少なく腹が座っている。この差はなんだろう?
この映画、泥沼の要素てんこ盛りだが、大団円の軽みがとても心地良い!
役所広司
俳優